浜坂行は余部橋梁を目指す

2011.10.22

香住の先、鐙〜餘部間に鎮座する長さ三一〇メートル、高さ同一メートルの余部橋梁は、アメリカ人技師の設計により明治四五年に完成した古典的な鉄僑で、橋脚の鉄骨櫓が林立する勇壮な姿がとても印象的な存在であったが、日本海の潮風にさらされること約一〇〇年、老朽化も進んで、平成一九年ついに新しいコンクリート橋へのかけ替え工事がはじまった(平成二二年八月使用開始予定)。見学ツアーの行程は、鉄橋最寄りの餘部駅まで観光バスで来て現物を眺めた後、渡橋体験のため香住まで列車に乗り、またバスでカニか何かを食べに行くというパターンが多い。列車の乗車距離はわずかに七・二キロ。全長六七三・八キロの山陰本線にしてみれば、ひやかしみたいな客だが、旅行もなにかと効率が優先されるご時世だから、これも仕方のない話なのかもしれない。白波が横縞状に次々と押し寄せてくる海岸を、清水の舞台のような余部鉄橋から見下ろし餘部着。地名・鉄橋名と駅名の漢字表記が異なる紛らわしい駅だが、山の斜面にへばり付くその狭いホームには、ブラシをひっくり返して置いたかのように、たまさかの遊山旅行者が溢れ立ち、そんなところに我が浜坂行からも乗客の半数ぐらいが降り立とうとしたので、大混乱となった。あまりの人の多さに、ドアの前で凝然とする人もいる。「鉄橋まんじゅう」なり「鉄橋せんべい」なりを売る業者が現れても、決しておかしくないような盛況ぶりである。

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